プラグインは大きくは音源系とエフェクト・編集系(以下エフェクト系)に分かれます。
音源系は良いものを一通り揃えればそれ以上の出費を抑えられるのですが、エフェクト系のプラグインは今回ご紹介のEQ(イコライザー)ひとつとっても種類が多く、用途やジャンルに合わせて様々な製品が出ており、特に実機を模したプラグインはそれぞれに味付けがあったりと、とても奥が深く、深い沼にはまって抜け出せないということも…
何度も申し上げますが、エフェクト系プラグインもDAW付属の物や、機材を購入したときの特典で付いてくる物で十分であることが多いです。
プロの方でも色々プラグインを買って持ってはいるが、結局自分の求める音にするのに手慣れたDAWのプラグインが手早く、しっくりとくるのでずっと使っている、ということもあります。
ですので、すきていのように自分の腕の無さを隠すように色々と購入してしまう(すきていだけ!?)前に、是非今あるプラグインを使いこなせるようになりましょう!
それではまず初心者の方にもわかりやすくDTMにおけるEQとはどういったものか説明いたします。
目次
DTMにおけるEQとは
EQ(EQualizer)とは、特定の周波数帯域を強調したり、減衰したりする音響機器のことを指しますが、DTMにおいてどういった役割を果たすのでしょうか。
作曲するにおいて、個別にボーカルやギターやドラム等の各楽器パートなど、ひとつひとつのトラックの仕上がりは非常に重要ですが、それぞれが「自分が一番最高に目立ってやる❗」となるとどうでしょうか。
そんなトラック達をまとめて聴いてみると、全部が主張してメリハリがなく、逆に各パートがぼやけてしまい、曲としては成り立たない状況になってしまいます。
それをうまく「Aさんはこの低音域を目立たせて!」「Bさんは低音域を抑えて、中音域を目立たせよう」などと各パートの特性をみてバッティングさせないよう、振り分けるのがDTMにおけるEQでの編集作業です。
例えばドラムなら目立たせたい低音域は強調するが、中音域は弱めてボーカルやギターに譲ってあげる訳ですね。
そうすることによって各パートの良い部分が前面に出て来て、曲全体としてもまとまるのです。
(ということは他のパートとの被りが目に見えてわかると、作業がやり易くなりますね。)
そういったことが簡単にできる高機能のEQも次で紹介していきます。
おすすめEQプラグイン
1、Pro-Q3 (Fabfilter)
FabfilterのPro-Q3は使ったことがある人ならほぼ全ての人がおすすめEQプラグインに挙げるような高性能EQプラグインです。(すきていもPro-Q3を使っています)
クリアな音質でGUIが非常に見易く、どの帯域で音が被っているのか等もアナライザーを見れば一目でわかるというような初心者にも優しい設計になっています。
またダイナミックEQ(コンプのような働きもできるEQ)で様々な機能を有しており、プロのエンジニアも多く使用しているデジタルEQです。(すぐに問題を見つけて修正ができるので作業効率もぐっと上がるという意見もあります)
デジタルEQとして求められることのほぼ全てのことができる最高峰のEQプラグインですので、もしEQを新たに1つだけ買うのならばこのPro-Q3をどうぞ!
2、Neutron 4 (iZotope)
iZotopeはAIで自動的に処理という神機能で有名ですが、もちろんこのNeutron 4でもAIでのミックス機能が搭載されています。
AIでミックスといってもにわかには信じ難いですが、プロ並みかと思うような処理をしてくれます。(AIの提案から、自分で微調整とかもOK)
Neutron 4は総合編集ソフトになっている訳ですが、こちらはEQ単体でも使用でき、かつ優秀との評判です。(Ozone 9も同じように単体でもEQがあり、こちらも優秀でおすすめです!)ただし、単体使用だとAI処理はありません。
このEQは非常に高機能でダイナミックEQの機能もあり、また他トラックの音との被りをリアルタイムに表示するなど、大変わかりやすく、手動でも簡単に処理ができます。
またNeutron全体として使うと結構重くて、これを使うと他のプラグインを気軽に挿せないという悩みがありますが、単体で各機能を使うなら動作は軽いので、EQとして全部のトラックに使用するというやり方も出来てしまいます。
すきていも今まではAIミックス機能ばかりに目がいってしまって、殆どAIに任せっきりになっていましたが、これからはどんどん手動でこの単体のEQを使っていきたいと思います。
Neutron 4は大変人気のプラグインでお持ちの方も多いと思いますが、もしお持ちでしたらEQ単体でも非常に高機能で優秀ですので、他のデジタルEQを買い足す必要はないと思います。
まだお持ちでない方も、AI機能は初心者でもプロのデモ制作でも心強い味方になってくれるので、Neutron 4を是非手に入れていただければと思います。(Neutron 4はMusic Production Suite 6バンドルで手に入れると割安ですよ!)
iZotope "Music Production Suite 6"おすすめ【全部使えるプラグイン!】
3、SSL E-Channel (Waves)
お次はアナログ実機をモデリングしたものからご紹介。
こちらは有名なSSL(Solid State Logic)ミキシングコンソール、SSL4000のチャンネルストリップを丁寧にエミュレートした「Waves」のプラグインです。(Wavesはエフェクト系プラグインの王様と言ってもよい存在です。一昔前はプロアマがこぞって使っていたので皆さんも知らない間にこのプラグインで編集された音楽を耳にしていると思います。1プラグインセットが何十万円もするような高級プラグインメーカーでしたが、最近では90%引きもあるようなセールもやっています。このWavesに関してはまた別に記事にしたいと思います。)
記事にしました!
DTMプラグイン界の大御所"Waves"とは(メリット・デメリットは?)
Waves SSL 4000 Collection サウンドハウス
こちらはすきていも所持しているのですが、ハイパス/ローパスフィルターや4バンドパラメトリックEQを備えたEQゾーンの他に、コンプレッサーやゲート等も備えたチャンネルストリップとなっているので、これ1つトラックに挿せばあとは空間系エフェクトを追加するだけでOKというようなこともできます。あと動作は軽いので気軽に色々なトラックに挿せますね。
今回はすきていの持っているWavesのプラグインを紹介しましたが、SSL4000をモデリングしたプラグインは様々なメーカーが出しているので、調べてみても面白いですね。
また古き良き時代の実機をモデリングしたEQやコンプレッサー等のプラグインは、調べたり比較したりしていくと、どんどん欲しくなっていく危ない沼でもありますので気をつけないといけないですね
他にもこのプラグインのように、ミキシングコンソール、チャンネルストリップの実機をモデリングしたプラグインは他にも沢山出ております。
おすすめのものを下の記事で紹介してますので合わせてご確認下さい。
チャンネルストリップ プラグイン おすすめ8選!【多機能でコスパも良いです】
4、Renaissance Equalizer (Waves)
Renaissance equalizerはWavesのルネッサンスシリーズのEQです。
このルネッサンスシリーズはプロからの評価も高い大定番シリーズで、どれをとっても使い方が簡単で、エフェクトの掛かり方も程よく自然な感じというところが多くの方に長年支持されている理由だと思います。
WAVES Renaissance Maxx サウンドハウス
こちらのRenaissance MaxxはEQやコンプ、リバーブ等々、7種類のプラグインがバンドルされているのですが、セールで1万円以下で手に入ることが多いです(一年の内、半年位はセールをやっている印象です)
Renaissance EQを手に入れたい方は、このシリーズが全部入ったRenaissance Maxxを購入するのがお得ですね。
5、H-EQ(Waves)
こちらはまたまたWavesから高性能ハイブリッドEQ ”H-EQ”です。(すきていも所持しています。)
バンドごとにアナログのビンテージやモダン、デジタルEQ等、7種類を選択できます。ですので低音域はクリアなデジタルEQ処理で、中音域はUSモダンで、高音域はUKビンテージでといった感じで各帯域で別のキャラクターのEQを使うことができます。
そして少し変わっているのがEQグラフの下に鍵盤がついているというところ。
これはなんじゃ?となりますが、こちらは音符をクリックして中心周波数を指定できる機能で、アナライザーと共に確認することで改善すべき帯域が瞬時にわかるようになっています。
こちらのプラグインはWavesのバンドルでもGOLDやPLATINUM、HORIZONには入っていないのでHシリーズバンドルや単品での購入になります。
使いこなせれば、これ一つでなんでもいけそうな気がしますね!
6、ENHANCED EQ (Native Instruments)
こちらはNative InstrumentsがSoftubeと開発したEQ"ENHANCED EQ"です。
名前の通りブーストが得意なEQですが、シンプルで非常に使いやすいです。
ドラムやベース等、個別のインストゥルメントに差し込んでイコライジングするのに最適で、うまくカットやブーストを使って各パートを際立たせることができます。
またスタジオで良く使用される標準的な機材がSoftubeによってエミュレートされているようですので、音の色付けもし易いです。
KOMPLETE13 ULTIMATEをお持ちの方は是非使ってみてください!
おすすめマルチ音源 KOMPLETE13 ULTIMATEは買いなのか!?【外付けSSDへのダウンロード方法も】
7、PASSIVE EQ (Native Instruments)
こちらもNative instrumentsからPASSIVE EQをご紹介。
見た目からして凄いのですが、超高価なManley(マンレイ)のEQをSoftubeが丁寧にエミュレートしたプラグインです。
そのManleyのPassive EQとはどんなものかというと…
MANLEY Massive Passive Stereo EQ サウンドハウス
本当にこんな感じでした(笑)
そこに置いてあるだけで満足感がありそうな男心をくすぐる機械感たっぷりの見た目です。
そしてお値段もやはり超高価!ヒエーΣ(Д゚;/)/
逆にいえばこんな手が出ないような価格の製品をプラグインで安価に扱えるということですね!
パッシブEQということで真空管系のクリアでナチュラルな感じでEQがかけられます。(コイルや真空管等、部品が高価なので、パッシブEQの実機はこんなに高価になるんですね)
(アクティブEQだとトランジスタ等で増幅するので、ゲインを上げていくと歪みが出ます。それはそれでいいのですけどね~♪)
というわけでPASSIVE EQは使い方は色々ありますが、特にマスタリングの最終調整等に使っていただければと思います。
いや~贅沢ですね~♪
因みにPASSIVE EQもKOMPLETE13 ULTIMATEに収録されていますよ!
おすすめマルチ音源 KOMPLETE13 ULTIMATEは買いなのか!?【外付けSSDへのダウンロード方法も】
8、Magg Audio EQ2(Plugin Alliance)
こちらはPlugin Allianceから販売されているMagg Audio EQ2です。
2バンドでブーストのみの非常にシンプルなEQですので、多機能ではないですが、実機が丁寧にエミュレートされており、特に高音域をブーストすると音の抜けが良く、例えばエレキギターのクランチで少しブーストを掛けてやるといい感じに抜けて存在感もアップします。(高音域のEQは"AIR BAND"と呼ばれており、原音そのままにきらびやかな高音域をくわえることができます)
また低中音域においても癖がなく自然な感じで使いやすいですね。
そんな素晴らしい実機はこんな感じです。
実機は縦型のラックタイプ(大きい弁当箱みたいなBOXにセットします)ですが結構な値段ですね。手が出ません(*_*)ウーン
これがプラグインだとPlugin Allianceで割引してるときで4千円弱で手にいれられますのでかなりお得ですね。公式サイトで価格はチェックしておきましょう。
因みにすきていはオーディオインターフェイスのPresonusのStudio26Cを購入した時に、Plugin Allianceのプラグイン集が無償でついてきました。(Magg Audio EQ2やBrainworxのbx_optoがバンドルされてました)
こういったよくありがちな付属特典は必ずチェックして有効利用しましょう!(Studio24Cを下の記事で紹介しています)
オーディオインターフェイスとは おすすめ10選!【コストパフォーマンスの高い機種をご紹介】
9、Pro-EQ2 (Studio one5付属)
最後はDAW(Studio one5)付属のEQプラグインです。
パラメトリックEQ(7バンド)でGUIも見易く、使い勝手がよいですね。
以前は不要な部分をバッサリとカットするのに、使い勝手の良さからDAW付属のEQを使っていらっしゃる方が多かったのですが、Studio one5の最新のPro-EQ2では、さらに進化し、多機能になっているので、メインEQになれる実力になっています。
これならもう他に買い足さなくても良さそうですね!
おすすめEQ プラグイン まとめ
9種類のEQを紹介しましたが、どれか1つ買い足すとなるとやっぱりFabfilterのPro-Q3ですね。
自分で購入し使ってみて、使い易いし、勉強になったし、音もクリアということで素晴らしいEQプラグインだと思います。
でもよくよく考えるとStudio one5付属のPro-EQ2も非常に良くなってますし、iZotopeのNeutron 3やOzone 9(ともにadvance)も先に所持していたので、もっと単体でEQとして使いこなしていれば何も追加で買わなくても良かったかもしれません。
という訳ですので、まずは自分の所持するプラグインを是非もう一度ご確認いただき、追加が必要であれば、それからおすすめEQ中心に深く調べていただければ、後悔しないDTMライフが送れると思います♪