DTMをやっていると「音が細いなぁ、もうちょっと前に出てほしいなぁ」とか「もう少し角がとれたマイルドな感じにならないかなぁ」とか「アナログ感を…」といった「もうちょっとこうしたい!」と思うことは誰しもあると思います。
そういった時に活躍するのがサチュレーターやエンハンサーのプラグインです。
ではサチュレーターやエンハンサーとはどういったものなのでしょうか。
目次
サチュレーター、エンハンサーとは
まずはエンハンサー(エキサイターとも呼ばれます)ですが、これは倍音を作り出して、音に存在感与える音響機器です。
音の高さは周波数の高さで決まりますが、その音を歪ませることにより、実音の上下に倍音を作り出し、それを実音にミックスさせて、音を太くしたりしています。
高音側の倍音を作り出して加えると、音の抜けが良くなる等の効果があります。抜けが良くなると音が前に出て存在感がアップしますね。
サチュレーターも歪みを利用して倍音を加えるもので、基本的にはエンハンサーと同じようなものなのですが、サチュレーターは全帯域に対してエフェクトが掛かるのに対して、エンハンサーは特定の帯域に倍音を加えます。
ですのでマルチバンドサチュレーターはエンハンサーと同じ使い方ができます。
おすすめのサチュレーター、エンハンサー
それではおすすめのサチュレーター、エンハンサーをご紹介いたします。
※また今回は紹介してませんが、ミキシングコンソール、チャンネルストリップのプラグインにもサチュレーション効果が得られる機能が付いていることが殆ど(特にアナログ実機モデリング)ですので、是非下の記事も合わせてご確認下さい↓↓
コンソール・チャンネルストリップ プラグイン おすすめ8選!
また同時に実機のテープサチュレーターやチャンネルストリップをエミュレートしたプラグインは、最近すきていが手に入れたユニバーサルオーディオ(以下UAD)もおすすめですよ♪以下の記事もご確認ください↓↓
1、Vitamin Sonic Enhancer(Waves)
”Vitamin”は5バンドのエンハンサーです。
エンハンサーといえばこのVitaminを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか(すきていだけ⁉)
なんといってもこのわかり易い名前ですね。「ビタミン剤」を注入するように音にパワーを与えます。
「ここの音をもう少し太くしたい!」と思ったときにメーターを上げるだけで、その音が簡単に太くなります。
また元の音とエンハンスされた倍音とのミックスも細かく調整することが可能です。
ただ音量を上げるのではなく、倍音を加えることで違和感なく自然な感じで音が太くなりますので、ボーカルからギターやドラム、トラック全体と何にでも気軽に栄養補給できます(笑)
WAVES Gold Bundle 簡易パッケージ サウンドハウス
VitaminはGoldバンドルに収録されてますが、Goldバンドルはセール時は1万円強で手に入れられるので、かなりお得なお買い物になりますね!
2、Saturn2(Fabfilter)
Fabfilterからサチュレーション、ディストーションプラグインのSaturn2。最大6バンドの処理が行えます。
こちらは歪ませることによる倍音を加える効果もそうですが、音にキャラクターを加えることに威力を発揮します。
28の異なるディストーションが搭載されており、真空管やテープサウンド、ギターアンプの音色を加えることができます。(プリセットを選ぶだけなので初心者の方にも安心です)
またFabfilterお得意の視認性の良いGUIでどのようにミックスしているか、目でも確認しながら調整ができます。
すきていも購入してどんなものか色々遊んでみたのですが、アナログ実機をエミュレートしたサチュレーターのように味わいを追加したり、派手に歪ませたりと結構なんでもできるので、使いこなせれば、これ1つで「もう少しこの音をこうしたい」といったようなこともかなり解決できるような気がしました。
他にFabfilterシリーズをお持ちの方は追加のプラグインは割引価格になりますので、25%引きセールの時に追加してみてはいかがでしょうか(もちろんすきていもそうしています!)
3、Abbey Road Saturator(Waves)
これは見るからにカッコいいプラグインですね。
あのアビー・ロード・スタジオ公認のサチュレーション、ディストーションサウンドがご家庭で楽しめますよ(笑)
”EMI TG12321”という超希少なソリッドステートのコンソール、真空管のREDDコンソールの2つのコンソールの特性を再現しているプラグインです。
ディストーションのキャラクターを調整するEQが搭載されているので、様々なテイストのディストーション・サチュレーションサウンドを作り出すことができ、それをミックスすることでソフトな温かい心地よさを加えることから、極端な歪みまで自由自在に作り出すことができます。
デフォルトの状態でトラックに挿すだけでいい雰囲気に変わるし、ギタートラックに挿して少しEQの中音域を上げてあげるだけで音の抜けが良くなり、存在感をアップさせることができます。(使いやすくていい感じです!)
このプラグインも「何かが足りない」と思うときに使ってみると自分の求めていたサウンドに近づけられるかもしれません。
あとこちらのサチュレーターがバンドルされている"Abbey Road Collection"はいいですよ。この次に紹介する"J37Tape"やリバーブプレートの"Abbey Road Reverb Plates"がバンドルされています。(他のHorizon等のバンドルには収録されていません) 頻繁にセールしてますので、チェックして安いときにゲットしてください!
WAVES Abbey Road Collection サウンドハウス
4、J37Tape(Waves)
こちらはテープサチュレーションプラグインで、楽曲にアナログ感を加えたい時に使用します。
あからさまにエフェクトが掛かっている感がするのかと思いきや、デフォルトの設定では倍音付加は控えめで、本当にわからない程度に雰囲気がのる感じで使いやすいです。
ギタートラックに挿し少しずつツマミを上げていくと「本物感がでた!」となりました。うーん、わかりますかねぇ、なんか空間ができてその空気感が音に加わった感じ。
ボーカルやアコギをオケに馴染ませるのにもぴったりだと思いますよ。
5、Scheps 73 (Waves)
もひとつWavesから"Scheap 73"のご紹介。
見た目と73の数字から有名な"Neve 1073"のモデリングプラグインとわかりますね。(マイクプリアンプとEQで非常に有名です。)
Wavesの先進的な技術でNeve 1073の心臓部ともいえるMarinairトランスの挙動も忠実にモデリングされており、Neve独特の暖かくもあり、艶やかなサチュレーションが得られるようになっています。
(Wavesは有名実機のモデリングはお手のもので、全て丁寧にエミュレートされていて、且つ初心者でも使いやすく設計されています)
すきていは前述の"Abbey Road Saturater"とどっちがいい感じでギターの存在感がアップするかで、差し込んでみてその時々で使い分けしています。(ボーカルやギターにぴったりなのです\(^o^)/)
そしてこのScheap73はWavesのバンドルでは以下の製品に入っています。
WAVES Dave Clarke EMP Toolbox サウンドハウス
一瞬「誰!?このおっちゃん」となったのですが、バンドル内容をみると…
・Aphex Vintage Aural Exciter
・API 560
・Kramer Master Tape
・Scheps 73
と使えるエキサイター、サチュレーターが充実しており、そこにあと3プラグインの計7プラグインバンドルとかなり魅力的なプラグインバンドルでした!(セール時で1万円ちょいです)
やるな、このおっちゃん‼️
6、DRIVER(Native Instruments)
こちらをエンハンサーやサチュレーターに入れて紹介してよいものかどうか悩んだのですが、積極的に歪みを利用して音づくりをしていくディストーションプラグインをご紹介。
フィルター機能(周波数、倍音をカットして音を変化させます)もありますので、多彩な音色を作り出すこともできます。
見た目や名前的にいかにも激しいディストーションが掛けられそうですが…、できます! ただ繊細な感じも表現できるので、こちらは聞きながらツマミを調整して自分の好きな具合にしていただければと思います。(結構ぐわっと音色が変化するので、ツマミを回していい音を探すのが楽しいです。もちろんパワーを与えることも簡単にできます)
KOMPLETEを持っていらっしゃる方はぜひ使ってみてほしいです。
7、NEUTRON 4 (iZotope)
fabfilterと一緒で、このiZotopeはどこでも顔を出してきますね~(どちらも使えるプラグインを沢山出しているんだからいいっしょ!)まあ冗談です。
そしてこちらはエキサイターです。こちらも歪みで倍音を加えてサウンドを強化させるので、エンハンサーやサチュレーターと同じです。
そしてこのNeutronのエキサイターにはiZotopeお得意のLearn機能(学習機能)があります。
オーディオの周波数を頭に入れて、いい塩梅にしてくれるようなのですが、説明が難しいですね。(例えばEQのLearn機能ですとトラックの音の被りを検出して補正してくれるのですが、そういった超便利な機能です)
GUIも見易く、どの部分でサチュレーションが掛かっているのか一目でわかります。
また4つの倍音モード(レトロ、チューブ、テープ、ウォーム)があり、それをブレンドして自分の求めるサチュレーションを掛けることができます。
すきていもNeutron4を所持しているのですが、専らAIアシスタント機能にお任せしているので、こんなに素晴らしい機能があるなんて全く気づいていませんでした(^o^;)
もっと一つのプラグインを使い倒さないといけないですね~
基本的にiZotopeのプラグインは全部おすすめです(AI機能もさることながら、ひとつひとつのエフェクトの質も高いです。音質も現代的で非常にクリア)。セールもちょくちょくやってますので、その時に賢く手にいれましょう。(Music Production Suite 6が必要なソフトが全てバンドルされていてお得です!)
iZotope "Music Production Suite 6"おすすめ【全部使えるプラグイン!】
Ozone10にもエキサイターが入っていますので、マスタリングで使用する場合はこちらを。機能はNeutronとよく似ています。
8、Oxford Inflator (Sonnox)
こちらはフェーダーを上げるだけで音の太さや存在感が得られる、プロ御用達のチートプラグインSonnox Oxfordの"Oxford Inflator"です。
すきていも所持しているのですが、特に歪みとかなくそのまま音圧が上がる感じという、どういう原理でそうなっているのかもわからないですが魔法のようなエフェクトです。
(ですのでプロ方でも全部のトラックに挿すよ!とおっしゃる方もいらっします。)
「EFFECT」フェーダーで簡単に音圧アップでき、そして「CURVE」では音にキャラクターを与えます。CURVEのフェーダーを上げ下げするだけで、コンプレッサーだとスレッショルドやレシオやアタックやリリース等々、面倒な設定しないといけないところが、自動的にエフェクトを調整しているような感じになります。簡単に言うと「色づけの濃さ調整」ですかね。とにかくめちゃくちゃ簡単です♪
このチート級エンハンサー⁉を手に入れたい方は、年に2回位やってるセールの時に購入されてはいかがでしょうか。(プラグインブティックとサウンドハウスを両方チェックしておきましょう!すきていはこちらはサウンドハウスで、リミッターはプラグインブティックのセールで購入しました)
Sonnox Oxford Inflator プラグインブティック
SONNOX OXFORD Oxford Inflator Native 簡易パッケージ サウンドハウス9、X-Saturator (Solid State Logic)
こちらはコンソールで有名なSSLから"X-Saturator"をご紹介。
こちらはプラグインブティックでセールをしていた時に思わず手に入れたのですが、何も考えずにトラックに差し込んで、プリセットでパートを選んで、微調整するだけで倍音とアナログ感が加わって、勝手にいい感じになります。
(あくまで個人的見解ですが、SSLコンソール系のプラグインは何を使ってもうまくまとまりますね〜安心♪)
もちろん細かい設定もやっていただければ、特に生楽器系のパートで追い込めるのではないでしょうか。
倍音もバルブ、トランジスタを使え、そのミックスもできるので、あたたかい空気感を与えるチューブとトランジスタのぐっと前にでる力強さの良いところが両方手に入ります。
そしてまたシェイプを調整してエッジを利かせたりということも全て音を確認しながらノブを回すだけの直感的操作なので、自分の求める感じにし易いと感じました。
こちらのX-Saturatorもそうなんですが、SSLのプラグインはちょくちょくプラグインブティックで大幅値引きセールをしているので、普段からちょくちょく覗いてて自分の欲しいジャンルのプラグイン(EQとかコンプやらリバーブやら)が安くなっていないかチェックしてみてください。
本当にSSLは結構なんでも優秀ですよ〜♪
気になる方はプラグインブティックをチェックしてみてください↓↓
サチュレーター、エンハンサーまとめ
いかがでしたでしょうか。EQ処理とかって結構つまんない感じがするんですけど(すきていだけ⁉)、サチュレーターやエンハンサーを使って音に存在感を与える、キャラクターを与える作業はやっていて楽しいですね。あれよこれよと試したくなります。
音圧を稼ぐのではなく、倍音を加えて音を太くしたり、雰囲気を加えたり、キャラ変したりしているので、コンプレッサーとはまた違ったアプローチで音に存在感を与えることができます。
コンプレッサーだと操作が複雑で、間違った使い方になると楽曲全体に悪影響を及ぼすようなことも起きますが、サチュレーターやエンハンサーは操作も簡単で、いろんなトラックに全く違ったジャンルの音色やパワーを与える等の無茶をしない限りはそれほど問題も起きない、初心者の方にとっては頼もしいアイテムとなるのではないでしょうか。
煮詰まったときや「もう少し何かが足りない」「アナログ感を得たい」というときには、ぜひ気軽にサチュレーターやエンハンサーをどうぞ。